2007-06-17

「だけ」と「しか」の違い

 この二つの違いはよく議論になります。英語の「only」に当たる言葉を「だけ」と覚えてしまうと、「しか」を使うべきところでも「だけ」を使うようになってしまいます。また、「しか」は述語を否定にしなければならず、その分面倒なので「だけ」のほうが使いやすいということもあるでしょう。

 基本的には、「だけ」は肯定的、「しか」は否定的、と言う違いがあります。

     (まだ)半分だけある。(だから大丈夫だ)
     (もう)半分しかない。(だからだめだ)

つまり、「だけ」は「ある」ことを述べ、「しか」は「ない」ことを述べます。

 また、「だけ」は肯定文にも否定文にも使えます。

     彼女だけ来た。
     彼女だけこなかった。(他の人はみんな来た)
     彼女しかこなかった。

「だけ+否定」の表す意味は、「しか」ではそのままは表せません。

     最後の問題だけできなかった。(一つできなかった)
     最後の問題しかできなかった。(一つできた)
     cf.最後の問題しかできないのはなかった。(一つできなかった)

 すでに見たように、「だけ」は形容詞文や名詞文にも使えますし、「だ・です」の前でも使え、用法の広がりが「しか」に比べてずっと広いことが特徴です。

 「だけ」は述語を受けることもできますが、それは複文のところで扱います。

 「だけ」に近い意味の「Nのみ」という形があり、書きことばで使われます。
     この土地でのみ行われる  残るは彼のみだ  神のみぞ知る

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